飲食店経営の勉強法|学ぶ店主だけが生き残る

資料を見ながらノートを取る飲食店の店主

毎日が精いっぱいで、勉強なんてしている暇がない

朝の仕込みから始まり、ランチのピーク、夕方の仕入れ確認、閉店後の帳簿。気づけば日付が変わっている、という日もあるでしょう。そんな毎日の中で「経営の勉強をしなきゃ」と思いつつも、どこから手をつければいいのかわからない。そう感じているオーナーさんは、決して少なくありません。

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毎日が精いっぱいで、勉強なんてしている暇がない

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飲食店経営の勉強、まず「本」から始めてみる

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セミナーや勉強会には「何を持ち帰るか」を決めて参加する

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「仲間」という学びの場は、どんな本より深い

責めているわけでは、まったくありません。小さな店を切り盛りするということは、料理人であり、接客係であり、仕入れ担当であり、経営者でもある、という意味です。一人で何役もこなしながら、さらに「勉強」まで積み上げようとするのは、正直しんどいことです。

ただ、少しだけ視点を変えてみてほしいのです。「勉強」というのは、机に向かって参考書を読むことだけではありません。お客さんとの会話から気づきを得ること、同業の仲間と悩みを話し合うこと、一冊の本の一節がひらめきになること。それも立派な学びです。今日はそんな話をさせてください。

飲食店経営の勉強、まず「本」から始めてみる

忙しいオーナーさんに、いちばん入りやすい学びの入口は「本」だと私は思っています。セミナーのように時間と場所を選ばず、自分のペースで読み返せる。費用も千円台から二千円台がほとんどです。

ただ、どんな本を選ぶかは大切です。「飲食店経営」と検索すると、大型チェーン向けの話や、マーケティング用語が飛び交う本が出てきます。席数が二十席の定食屋さんには、正直あまり参考にならないこともある。

私がおすすめしているのは、次のような観点で本を選ぶことです。

  • 著者が「現場」を知っているか。実際に小さな店を経営した経験のある人、あるいは地方の中小店舗を長く支援してきた人の言葉は、リアルさが違います。
  • 自分の店の規模感に近い事例が出ているか。月商五千万円の話より、月商百万〜二百万円くらいの話のほうが、ずっと自分ごとになります。
  • 読んで「やってみたい」と思えるか。難しくて読み進められない本は、どんなに名著でも自分には合っていません。パラパラと立ち読みして、感覚で選んでいいと思っています。

一冊まるごと読めなくてもいいんです。気になった章だけ読む、付箋を貼った箇所を月に一度見返す。それだけで、日々の判断が少しずつ変わってきます。

セミナーや勉強会には「何を持ち帰るか」を決めて参加する

最近は、飲食店向けのオンラインセミナーや勉強会が増えました。無料のものも多く、移動しなくていいぶん、忙しいオーナーさんでも参加しやすくなっています。

ただ、セミナーには一つ注意点があります。それは「聞いた満足感」で終わってしまうことです。二時間びっちりメモを取っても、翌日から何も変わらない、というのはよくあることです。これは参加した方が悪いのではなく、情報が多すぎて消化しきれないという、構造的な問題でもあります。

そこで私が長年お伝えしているのが、「今日のセミナーで、明日試せることを一つだけ持ち帰る」という心がけです。たとえば「メニュー表の一番目立つ場所に、店のいちばん自信のある一品を置く」とか、「お会計のときに、次回来たくなる一言を添える」とか。小さくていい。むしろ小さいほど続けやすい。

学びは、仕込みと同じです。丁寧に下ごしらえをしておけば、本番の仕上がりが変わります。セミナーも、「どう使うか」を考えながら聞くと、まったく違う栄養になります。

「仲間」という学びの場は、どんな本より深い

私が三十年間、全国の小さな飲食店オーナーさんの相談に乗ってきて、強く感じることがあります。それは、「同じ立場の仲間と話せる場を持っている店主は、変化に強い」ということです。

たとえば、ある定食屋さんのご夫婦が、地域の飲食店仲間と月に一度だけ集まって情報を交換するようにした。業種はバラバラで、ラーメン屋さんも、カフェも、居酒屋さんもいる。最初は雑談に近かったのですが、「最近うちはこんな工夫をしてみた」「それ、どこで知ったの?」という会話が積み重なるうちに、それぞれの店が少しずつ変わっていったそうです。

仲間との対話が優れているのは、「自分が気づいていなかった自分の強み」を教えてもらえることです。毎日同じ厨房に立っていると、自分の店の良さが当たり前になって見えなくなります。外から見た人が「え、それって普通じゃないですよ」と言ってくれることで、初めて気づける価値がある。

競争ではなく、共鳴し合える仲間を持つこと。これは、どんなマーケティングの教科書にも載っていない、でも確実に経営を支える力だと思っています。

外の知恵を「選ばれる理由」に変える考え方

本やセミナーや仲間から学んだことは、最終的に「お客さんに選んでもらう理由を整えること」に使ってほしいと思っています。

少し具体的な話をしましょう。月商百五十万円の小さなランチ中心のお店があったとします。客単価が八百円で、一日四十人のお客さんが来ている。売上を伸ばすには、①客数を増やす、②客単価を上げる、③来てくれる頻度を増やす、という三つの方向があります。

広告費をかけて新しいお客さんを呼ぶより、すでに来てくれているお客さんに「また来たい」と思ってもらう工夫のほうが、小さな店には合っていることが多い。なぜなら、一人のお客さんが週一回通ってくれれば、月四回。年間で約五十回。それが十人なら、年間五百回分の売上が積み上がります。

「どうすれば、来てくれたお客さんがまた来たくなるか」。この問いへの答えを、本や仲間や勉強会から学んだ知恵で少しずつ積み上げていくこと。それが、小さな店にとっての「外の知恵を活かす」ということだと私は考えています。

一人で抱え込まないことも、経営の知恵のひとつ

「うちみたいな小さな店が、コンサルタントに相談するなんて…」と思っているオーナーさんも多いでしょう。でも、学ぶことや相談することは、大きな店だけの特権ではありません。むしろ、一人で何でも抱えてきた小さな店のオーナーさんほど、外の視点が入ったときの変化が大きいと感じています。

同じ悩みを持つ仲間がいる場、経験者から話を聞ける場、自分の店を客観的に見つめ直せる場。そういった「学び合える環境」に身を置くことが、一冊の本を読む以上の変化をもたらすこともあります。あなたの近くに、そんな場があるかどうか、一度探してみる価値はあると思います。

今日からできる、小さな一歩

長くなりましたが、最後に一つだけ提案させてください。

今日の閉店後、十分だけ時間を取って、「最近、自分が気になっていること」を紙に書き出してみてください。売上のこと、メニューのこと、スタッフのこと、なんでもいい。頭の中にぐるぐるしているものを、言葉にして外に出すだけでいい。

書いてみると、「自分が本当に知りたいこと」が見えてきます。それが、次に読む本の選び方になり、セミナーで持ち帰るべきことの絞り込みになり、仲間に相談したいテーマになる。学びの方向が定まると、忙しい毎日の中でも、ちゃんと自分の店の栄養になっていきます。

変わり続ける時代の中で、学び続ける店主でいること。それが、売り込むことより、広告を打つことより、ずっと長く「選ばれ続ける店」をつくる力になると、私は信じています。


学んで、伸びる店になる。

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