飲食店が忙しいのに儲からない本当の理由

閉店後の店内で帳簿を前に頭を抱える飲食店経営者

「忙しいのに、なぜかお金が残らない」——その感覚は正直だと思います

毎日厨房に立って、仕込みをして、接客して、片付けをして、気づけば夜中。それだけ動いているのに、月末に通帳を見るとため息が出る。そういうお話を、これまで本当にたくさんのオーナーさんから聞いてきました。

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「忙しいのに、なぜかお金が残らない」——その感覚は正直だと思います

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「手間がかかる」と「儲かる」は、別の話です

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メニューには「稼ぎ頭」と「お荷物」がいます——まず見える化してみましょう

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「よく出るのに利益が薄いメニュー」とどう向き合うか

「自分の働き方が悪いのかな」「もっと集客しなきゃいけないのかな」と思ってしまう方も多いのですが、私の経験では、多くの場合、問題は働き方でも集客でもありません。売っているメニューの組み合わせに、答えが隠れていることが多いのです。

今日は、そのことを一緒に考えてみましょう。難しい話はしません。ご自身の店のメニューを思い浮かべながら、読んでみてください。

「手間がかかる」と「儲かる」は、別の話です

少し意地悪な質問をさせてください。今、あなたの店で一番よく出るメニューは何ですか。そして、そのメニューは、利益が出ていますか。

実はこの二つが噛み合っていないケースが、非常に多いのです。

たとえば、ある定食屋さんのお話です。そのお店は日替わり定食が大人気で、毎日お昼はほぼ満席。でも月商は130万円前後で、手元に残るお金はほとんどない状態が続いていました。話を聞いてみると、日替わり定食は680円。食材費と、仕込みにかかる時間と手間を計算してみると、その一皿で残る利益はごくわずかでした。席が埋まっているのに、儲からない。その正体は、「よく出るメニュー」と「利益が出るメニュー」がずれていたことにありました。

これは、そのオーナーさんが怠けていたわけでも、経営センスがないわけでもありません。「お客さんに喜んでほしい」「安くて満足してもらいたい」という気持ちが、知らないうちに数字の足を引っ張っていただけのことです。

メニューには「稼ぎ頭」と「お荷物」がいます——まず見える化してみましょう

料理の仕込みと同じで、数字も下ごしらえが8割です。いきなり改善しようとするより、まず「うちのメニューの実態」を知ることから始めましょう。

難しいことはしなくていいです。まず手元のメニューを見て、次の二つの軸で大まかに仕分けてみてください。

  • よく出るか、あまり出ないか(直近1週間の注文数を思い出せる範囲で)
  • 一皿あたりの利益が大きいか、小さいか(売価から食材費を引いた金額。大まかで構いません)

この二つで分けると、メニューは大きく四つのグループに見えてきます。

  • よく出て、利益も出る——これがお店の「稼ぎ頭」。大切に育てましょう。
  • よく出るけど、利益が薄い——席を埋めているのに手元にお金が残らない。ここが今日の本題です。
  • あまり出ないけど、利益は出る——もっと注文されれば、一気に楽になる可能性があります。
  • あまり出なくて、利益も薄い——存在意義を一度問い直してもいいかもしれません。

ざっくりでいいので、自分の店のメニューを当てはめてみてください。「あ、うちの看板メニューって、実は利益薄いな」と気づく方は、少なくないはずです。

「よく出るのに利益が薄いメニュー」とどう向き合うか

「じゃあ、人気メニューをやめればいいの?」と思われた方、少し待ってください。そんな乱暴なことを言うつもりはありません。

人気メニューには、お客さんを呼ぶ力があります。それはとても大切な役割です。ただ、その一品だけで帰ってもらうのではなく、「一緒に頼んでもらえるメニュー」を隣に置くという考え方を試してみてほしいのです。

たとえば、680円の日替わり定食に、150円の小鉢を一品添える。あるいは「今日のおすすめ」として、利益率の高いドリンクや一品料理を、ごく自然にお声がけする。席が埋まっている状態を活かして、一人あたりの合計金額をほんの少し上げる工夫です。

一人あたりの注文金額、つまり「客単価」が100円上がるだけで、月に500人来店するお店なら月5万円の売上増になります。月商130万円の店が135万円になる。小さいようで、積み重なれば大きな差になります。

また、別の角度からの見直しとして、手間のかかり方を見直すことも有効です。仕込みに2時間かかるメニューと30分で仕上がるメニューが同じ価格なら、前者の「本当のコスト」は数字には出ていない時間と体力です。あなたの時間と体力も、れっきとしたコストです。それを踏まえて、価格の見直しを検討することは、決して「お客さんへの裏切り」ではありません。価値に見合った価格は、長く店を続けるための誠実さだと、私は思っています。

メニューを「選ばれる理由」から組み立て直すヒント

ここまで読んでくださった方に、もう一つ別の視点をお伝えします。

メニューの改善は、「何を削るか」ではなく、「何をお店の軸にするか」から考えると、方向が見えやすくなります。

あなたの店に来るお客さんは、なぜあなたの店を選んでいるのでしょう。値段? 場所の近さ? 雰囲気? それとも、あなたが作るあの一品?

その「選ばれている理由」の近くに、利益の出るメニューを置く。あるいは、選ばれている理由をもっと磨いて、それにふさわしい価格をつける。これが、値下げや広告よりも先に考えてほしいことです。お客さんは、「安いから」だけで店を選んでいるわけではありません。「ここが好きだから来ている」というお客さんほど、少しくらい値段が変わっても通い続けてくださるものです。

一人のお客さんが、1ヶ月に2回来てくれるのか、週1回来てくれるのかで、その方が1年間にもたらしてくれる売上はまったく変わります。新しいお客さんを探し続けることより、今いるお客さんにもっと喜んでもらって、もっとよく来てもらえる店にすること。その視点を持つだけで、経営の景色は少し変わってきます。

「うちはこれでいいのか」と迷ったとき、同じような悩みを持つ仲間や、気軽に話せる相手がいるだけで、見えていなかったことが見えてくることがあります。一人で抱え込まずにいられる環境を、意識して作っておくことは、実はとても大切なことだと感じています。

今日、一つだけやってみてほしいこと

難しいことはしなくて構いません。今日の夕方、営業が落ち着いた時間に、自分の店のメニュー表を一枚手に取ってみてください。

そして、一品ずつ頭の中で「これ、利益出てるかな」と問いかけてみる。感覚でいいです。「たぶん薄いな」と思うものに、鉛筆で小さく丸をつけてみてください。

その丸がついたメニューが、今のあなたの店の「点検するべき場所」です。すぐに変える必要はありません。ただ、知っておくことが最初の一歩です。仕込みだって、素材の状態を確認するところから始まりますよね。メニューの見直しも、まず「現状を知る」ところから。それだけで、今日から少しずつ景色が変わっていくはずです。


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