
「インスタに載せるネタが思い浮かばない」「毎日更新しようとしたけど、3日で息切れしてしまった」——そんなふうに感じたことはありませんか。
「ネタがない」のではなく、「日常が見えていない」だけかもしれない
飲食店のインスタネタは、1日の流れのなかに必ずある
「今日のおすすめ」がファンを育てる仕組み
続けるために、最初から「ゆるく設計する」
無理もありません。仕込みをして、仕入れをして、接客して、締めをして。それだけで一日が終わるのが、小さな飲食店の現実です。発信のことまで考える余裕など、なかなかないものです。
でも、少し見方を変えてみると、あなたの「今日のおすすめ」を決めるその瞬間そのものが、実はお客さんがいちばん知りたい場面だったりします。今日は、そのことをゆっくりお話ししたいと思います。
「ネタがない」のではなく、「日常が見えていない」だけかもしれない
インスタグラムで飲食店の発信を見ていると、プロのカメラマンが撮ったような美しい料理写真ばかりが目に入りがちです。それを見て「うちには無理だ」と感じてしまう方も多いのではないでしょうか。
でも私は、30年間、全国の小さなお店のオーナーさんたちとお話ししてきて、ひとつ確かなことを感じています。それは、お客さんが本当に気になっているのは、「完成した一皿」よりも「その一皿が生まれるまでの話」だということです。
朝、市場で仕入れてきた魚の話。今日の仕込みで気づいたこと。賄いで試してみたら思いのほか美味しかった一品。そういうものが、実はインスタの「ネタ」として、とても力を持っています。
大切なのは、「撮れる素材を探す」のではなく、「今日すでにそこにあるものを、ちょっとだけ意識して切り取る」こと。その発想の転換が、長く続く発信の入口になります。
飲食店のインスタネタは、1日の流れのなかに必ずある
具体的に考えてみましょう。あなたの1日を思い浮かべてください。
- 仕入れの場面:「今朝、○○産の〇〇がいいものが入ったので、今日のおすすめにします」
- 仕込みの場面:「このタレ、2日かけて仕込んでいます。今日ようやく完成しました」
- 賄いの場面:「スタッフの賄いで試したら好評だったので、来週メニューに入れようかと思っています」
- おすすめを決める場面:「今日の日替わりは〇〇です。理由は今朝届いた○○が想像以上に美味しかったから」
どれも、特別なことではありません。でも、これらはすべて「なぜ今日それを出すのか」という理由が見える発信になっています。
料理の完成写真だけを投稿するのと、こうした「背景」を一言添えて投稿するのでは、読んでいるお客さんの受け取り方がまったく違います。前者は「情報」ですが、後者は「物語」になるからです。物語には、人を引き寄せる力があります。
「今日のおすすめ」がファンを育てる仕組み
ここで少しだけ、発信と集客の関係を整理させてください。難しい話ではありません。
お客さんが「また行こう」と思ってくれるには、いくつかのステップがあります。まず「知る」、次に「試しに行ってみる」、そして「通う」——この流れです。インスタなどのSNSは、この最初の「知る」と「また思い出す」の部分で、とても大きな役割を果たします。
特に小さなお店の場合、一度来てくれたお客さんが「また来たい」と思い続けてくれることが、売上の土台になります。月商100万円のお店で、客単価が1,500円だとすると、月に約670回の来店が必要です。これを新規のお客さんだけで埋めようとするのは、かなり大変なことです。だからこそ、一度来てくれた方に「このお店のこと、なんとなく気になっている」と思い続けてもらう仕掛けが大切になります。
日常の発信は、まさにその「なんとなく気になっている」を育てるものです。毎日見なくていい。週に1〜2回でも、「あ、今日のおすすめ気になるな」「そういえばあのお店、久しぶりに行ってみようかな」と思ってもらえれば、それで十分です。
仕込みと同じで、発信も「続けること」が8割です。一投稿の完成度より、細くても続く習慣のほうが、長い目で見ればずっと力になります。
続けるために、最初から「ゆるく設計する」
「わかった、やってみよう」と思っても、続けるのが難しいのが発信の現実です。ここでは、小さなお店が無理なく続けるための考え方をお伝えします。
完璧な写真を目指さなくていい
スマートフォンで、自然光のなかで撮るだけで十分です。むしろ、プロっぽすぎない写真のほうが「手作り感」「人のいる温かさ」が伝わることもあります。あるカウンター6席の小料理屋さんが、毎朝仕入れてきた食材をまな板の上に並べて撮るだけの投稿を続けたところ、「今日は何が入ったか気になって、毎朝チェックしてる」というお客さんが増えたと話してくれたことがあります。
キャプション(文章)は短くていい
「今日の仕入れ。北海道の秋鮭が良かったので今夜のおすすめに。塩焼きにします」——これだけで十分です。一生懸命書こうとするから続かなくなる。話すように書く、それでいいんです。
投稿頻度は週2〜3回から
毎日更新しようとすると、必ずどこかで止まります。週2〜3回を「守れる約束」として設定する方が、結果として長続きします。
こうしたことを、一人で考え続けるのは正直しんどいものです。誰か同じ立場の人と話したり、「こういう場合はどう発信すればいい?」と相談できる場を持っておくことが、長く続ける上で意外と大きな支えになります。あなたが今感じている迷いは、きっと他の誰かも感じています。
まとめ:今日からできる、たった一つのこと
発信のネタは、遠くにあるわけではありません。仕入れの袋の中に、仕込みの鍋の前に、賄いの皿の上に、もうすでにあります。
今日の「今日のおすすめ」を決めたとき、その理由をスマートフォンのメモに一行だけ書いてみてください。「〇〇が良かったから」「昨日試したら好評だったから」——それだけでいい。その一行が、投稿の文章になります。写真は、そのついでに一枚撮ればいい。
まずは今日一回だけ、やってみてください。うまくいかなくても、それでいいんです。続けることが、じわじわと、あなたのお店の「また行きたい」を育てていきます。
学んで、伸びる店になる。
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