飲食店の家賃比率、目安は売上の何%か

飲食店の家賃比率、目安は売上の何%か

「家賃がきつくて、毎月ドキドキしながら25日を迎えています」——そんな言葉を、これまで本当にたくさんのオーナーさんから聞いてきました。場所を選んで、看板を出して、やっと自分の店を持ったのに、固定費の重さに押しつぶされそうになっている。その気持ちは、数字の話をする前にまず、ちゃんと受け取りたいと思います。

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飲食店の家賃比率、まず「10%」という目安を知っておく

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「10%以内」が難しい小さな店の現実

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家賃比率が高い店が考えるべき「2つの方向」

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数字は「責める道具」ではなく「地図」として使う

今日は「家賃は売上の何%まで大丈夫なのか」という、シンプルだけど意外と整理されていない問いに、一緒に向き合ってみましょう。

飲食店の家賃比率、まず「10%」という目安を知っておく

飲食業界では長年、家賃は月の売上の10%以内に収めるのが健全な目安とされています。これはいわゆる「家賃比率」と呼ばれるもので、計算式はとてもシンプルです。

家賃比率(%)= 月の家賃 ÷ 月の売上 × 100

たとえば月商150万円の店で、家賃が15万円なら比率はちょうど10%。月商100万円の店で家賃が15万円なら15%になります。

「10%以内」という数字は、飲食店の利益構造から来ています。売上からざっくり考えると、

  • 食材費(原価):売上の30〜35%程度
  • 人件費(自分の給与含む):売上の25〜35%程度
  • 家賃:売上の10%以内
  • 光熱費・消耗品・その他経費:売上の5〜10%程度

これらを足し算すると、残るのはせいぜい10〜20%。ここから税金や借入返済、設備の修繕費などが出ていくわけですから、家賃が15%、20%と膨らむと、利益がほとんど残らない——あるいはマイナスになる——という構造が見えてきます。

ちなみに食材費と人件費の合計のことを、業界では「FLコスト」と呼びます。FL比率(食材費と人件費を合わせた割合)が60〜65%を超えると経営が苦しくなると言われているのですが、家賃比率はその次に来る、もう一つの「重し」なのです。

「10%以内」が難しい小さな店の現実

ただし、正直に申し上げます。10%という目安は、月商が高い店ほど達成しやすく、小さな店ほど厳しい数字です。

たとえば席数15席ほどの小さなランチ専門の定食屋さんを想像してみてください。立地がよくなければお客さんは来ない。でも立地がよければ家賃は高い。月商80万〜100万円の規模では、都市部の物件だと家賃だけで12〜18万円かかることも珍しくありません。

月商80万円で家賃15万円なら、比率は18.75%。10%の目安からはずいぶん離れています。でもこれは、そのオーナーさんの努力が足りないのではなく、小さな店が抱える構造的な問題です。責めても何も変わりません。

現実的な目線で言うと、小さな飲食店では家賃比率15%程度までなら、他のコストをしっかり管理できていれば経営は成り立つケースが多いです。ただし、15%を超えてくると、何か一つ歯車が狂ったときのリスクが一気に高まります。20%を超えると、かなり慎重な運営が必要になります。

自分の店の「本当の家賃比率」を計算してみる

ここで一つ、お願いがあります。今の家賃比率を、実際に計算してみてください。頭の中で「たぶんこれくらい」と思っている数字と、実際に割り算した数字は、案外違うことがあります。

料理の仕込みと同じで、数字も下ごしらえが8割です。「なんとなくきつい」ではなく「何%きつい」がわかると、次に打てる手が変わってきます。

計算に使う「売上」は、できれば直近3ヶ月の平均を使うといいでしょう。1ヶ月だけだと繁閑の波に引っ張られてしまうので。

家賃比率が高い店が考えるべき「2つの方向」

家賃比率が15%を超えている場合、選べる方向は大きく二つです。①売上を上げるか、②家賃の負担を下げるか。どちらが現実的かは、お店の状況によって変わります。

①売上を上げる:客単価と来店頻度に目を向ける

売上を上げるといっても、「もっとお客さんを呼ぼう」という発想だけでは疲弊します。小さな店で重要なのは、今来てくださっているお客さんに、もっと長く通い続けていただくという視点です。

一人のお客さんが、通ってくれる間に運んでくれる売上の合計——これを丁寧に育てることが、広告費をかけるよりずっと手堅い売上の底上げにつながります。

たとえば月商150万円を目指したいとき、新規のお客さんを増やすより、今月10回来てくれているリピーターさんが12回来てくれるようになるほうが、コストも心理的負担も小さい。客単価を500円上げることも、立派な売上改善です。

家賃比率を改善するために「選ばれる理由を整える」ことが、遠回りに見えて一番確かな道だと、私は30年かけてそう思うようになりました。

②家賃の負担を下げる:交渉と見直しの余地を探す

もう一つの方向は、家賃そのものを見直すことです。「家賃は契約したら変えられない」と思っているオーナーさんが多いのですが、実はそうとも限りません。

長期間入居しているテナントは、オーナー(貸主)にとっても安定した収入源です。空室リスクを考えれば、誠実に交渉すれば応じてもらえるケースも少なくありません。特に契約の更新時期は、話を切り出しやすいタイミングです。

また、「共益費(建物の管理費として毎月払う費用)」や「駐車場代」が家賃とは別建てになっていて、実質的な負担が見えにくくなっているケースもあります。家賃比率を計算するときは、これらも含めた「実質的な賃料の総額」で考えることをおすすめします。

法的な契約内容や交渉の進め方については、必要に応じて弁護士や不動産の専門家にも相談してみてください。

数字は「責める道具」ではなく「地図」として使う

家賃比率という数字は、あなたの経営の良し悪しを裁くためのものではありません。今自分がどこにいるかを確かめ、次にどこへ向かうかを考えるための地図です。

目安の10%に届いていなくても、それがすぐに「詰んでいる」を意味するわけではありません。大切なのは、その数字をちゃんと知った上で、今できる選択をしていくこと。

私がこれまで相談に乗ってきたある定食屋さんは、家賃比率が20%近くある状態からスタートして、3年かけてメニューの見直しと常連さんとの関係づくりで月商を1.5倍にし、比率を13%台に落ち着かせました。急に何かを変えたわけではなく、毎月少しずつ数字を確認しながら、小さな手を積み重ねた結果です。

経営の数字は、一人で抱え込むより、誰かと一緒に見るほうがずっと見えやすくなります。信頼できる人や場と、定期的に話せる機会を持てているかどうか——それだけで、同じ数字でも全然違う景色が見えてくることがあります。

まとめ:今日、一つだけやってみてほしいこと

飲食店の家賃比率の目安は、一般的に売上の10%以内。小さな店の現実として15%までは許容範囲とされますが、それを超えてくると経営の体力が削られやすくなります。

今日お伝えしたことを整理すると、

  • 家賃比率=月の家賃 ÷ 月の売上 × 100 で計算できる
  • 共益費・駐車場代なども含めた「実質賃料」で計算するのが正確
  • 比率が高い場合の打ち手は「売上を上げる」か「家賃負担を下げる」の二方向
  • 売上を上げるなら、新規集客より今のお客さんとの関係づくりが手堅い

今日、一つだけやってみてください。直近3ヶ月の売上の平均を出して、月の家賃(共益費込み)で割ってみる。それだけです。計算した数字をメモしておいて、来月また同じ計算をしてみる。その小さな習慣が、数字と仲良くなる第一歩になります。

自分の店の地図を、少しずつ手に入れていきましょう。


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